昭和前期〜思潮〜小文庫
哲学者 三木清は、1945年政治犯として獄中に亡くなりました。日本政府が無条件降伏した翌月に、釈放されることなく亡くなったのです。私たち日本人が自分のたちの知性を尊重していないことの一例です。独自の哲学としては、西田幾多郎を推す人の方が多いかもしれません。西洋哲学を十分消化したうえに、平易な言葉で独自の哲学を語ろうとした三木清の方が、私には読んで理解できる哲学者です。廣松渉が、政治運動から哲学的思索を深めたのに対し、学的立場から時代の流れに抗する姿勢をたもちつつ、困難な時代を生きた哲学者であったと思います。存命中は、右からも左からも不徹底を攻められる位置に居たように思いますが、抑えておくべき確かな座標軸を示してくれる哲学者であったように思います。
以下は 旧漢字旧仮名遣いの三木清全集をほぼそのままの形でPDF化したもので、JIS第四水準までのコードを使っています。

第1巻
『パスカルに於ける人間の研究』『人生論ノート』『読書と人生』に収録された五篇「我が青春」「読書遍歴」「消息一通」「哲學はどう學んでゆくか」「哲學はやさしく出来ないか」
第2巻
『史的観念論の諸問題』「ボルツァーノの命題自体」「スピノザにおける人間と国家」「ゲーテにおける自然と歴史」
第2巻独文
ドイツ語論文四編(個別的因果律の論理、真理と確実性、論理学における客観主義、日本の哲学におけるリッカートの意義)
第3巻
『唯物史観と現代の意識』『社会科学の予備概念』『観念形態論』
第4巻
知識哲学(『認識論』『論理と直感』)、弁証法二題、現代思潮と現代哲学思潮
第5巻
哲学諸論考:危機意識の哲学的解明、形而上学の将来性について、世界観構成の理論、人間学と歴史哲学、表現に於ける真理、解釈学と修辞学、ヒューマニズムの哲学的基礎、人間学主義、ヒューマニズムの倫理思想、精神史方法論、充足的経験論、自然主義の倫理思想、形而上学の現象学、倫理と人間、道徳の理念
第6巻
歴史哲学・ 社会科学概論
第7巻
哲学入門、技術哲学、 ほかに辞典用に書かれた項目六点
第8巻
『構想力の論理』
第9巻
『アリストテレス』『アリストテレスの形而上学』『アリストテレス』(教育)、『ソクラテス』
第10巻
哲学評論:各種雑誌等に発表された哲学的評論二十八編
第11巻
文学論稿:各種雑誌等に発表された文学論稿14編
第12巻
文学評論と、三木が執筆した辞書項目を採録
第13巻
宗教関連の評論と、1929~1937年に出た教養と文化に関した評論集
第14巻
教養と文化評論2です。1938(昭和13)年から1943(昭和18)年までの四四編の評論